医療費控除とセルフメディケーション税制 違い を調べるにしました。理由は、税務署から「平成29年分確定申告のお知らせ」というハガキが届いたからです。
最近は給与所得者にもこんなのが届くんだー、へー、親切な世の中になったね。とか思っていたら、その数日後、楽天証券より「年間取引報告書」が届きました。
なにこれ?全然身に覚えがないんだけどとか思いつつ封書を開封すると、自分でもぜんぜんまったく覚えてなかったんだけど、どうやら去年の2月に私は株式の譲渡を行い、その際、譲渡益が出ているようです。ちょっぴりだけど。税額にしても2,000円ほど。
この「年間取引報告書」は、もしかして写しがもうすでに税務署に?だから「確定申告のお知らせ」なんてのが届いたのかな。それならナットク。
私は、株式売買を「特定口座」、「源泉徴収なし」、でやっています。「NISA」にすれば120万円まで非課税だっていうのは知っていましたけど、NISAには期限があること。期限が過ぎたら口座をまた移さなければいけないということで、ロングで保有する私には必要ないかなー。メンドくさいかなーって開設しなかったんですけど、こーゆうトキだけは、NISAうらやましい。って思ってしまいますね。
そんなこんなで確定申告をしようと思ったんですけど、その時に「セルフメディケーション税制」なるものに出会いました。なんですかこれは?初めて聞きました。私の知らない世界ですね。と思ったら今回から始まった新しい制度なようです。
医療費控除とセルフメディケーション税制、果たしてどっちがお得なのか?調べてみようと思います。
医療費控除
医療費控除とは?
国税庁のHPによると、
その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額(下記3参照)の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。
医療費控除の範囲
- 納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること
- その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。)
「生計を一にする」というのは、実際に一緒に暮らすことを必ずとせず、例え離れて暮らしていても食費や家賃を援助していたり、小遣いをあげてたり、生活を助けている事実があれば認められるんですよね。
「その他の親族」民法上でいう6親等内の直系親族、3親等内の姻族まで対象になるということかな。
医療費控除による控除額
実際に支払った医療費の額ー保険金等で補填される金額ー10万円=控除額(限度200万円)
(注)その年の総所得金額等が年間200万円以下の場合は、総所得金額等の5%と10万円とを比較し、少ない金額。
つまりは通常、親、姉弟、とにかく医療費を集めに集めて総額が10万円を超えるようだったら医療費控除をするとお得だということですよね。ただ、薬局やスーパーで買った「風邪薬」や「胃腸薬」も対象になるって、世の中の人たちはみんな知ってるのかな?
医療費控除の手続き要件
医療費控除に関する事項その他の必要事項を記載した確定申告書を所轄税務署長に提出するか、電子申告(e-tax)にて申告してください。
(1)平成29年分以後の確定申告書を提出する場合 医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成(注1)し、確定申告書に添付してください(給与所得のある方は給与所得の源泉徴収票(原本)も必要です。)。
医療保険者から交付を受けた医療費通知(注2)がある場合は、医療費通知を添付することによって医療費控除の明細書の記載を省略することができます。
なお、医療費控除の明細書の記載内容を確認するため、確定申告期限の翌日から起算して5年を経過する日までの間、医療費の領収書(医療費通知を添付したものを除きます。)の提示又は提出を求める場合があります。
(注1) 経過措置として、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、明細書を確定申告書に添付せず、領収書を確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示することによることもできます。
(注2) 医療費通知とは、医療保険者が発行する医療費の額等を通知する書類で、次の全ての事項の記載があるもの(後期高齢者医療広域連合から発行された書類の場合はまる3を除く。)及びインターネットを使用して医療保険者から通知を受けた医療費通知情報でその医療保険者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書が付されたものをいいます。
- 被保険者等の氏名
- 療養を受けた年月
- 療養を受けた者
- 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
- 被保険者等が支払った医療費の額
- 保険者等の名称
今年から、医療費に関する領収書やレシートを添付しなくてよくなったんですね。レシートや領収書が1年分で10万円を超えるとなるとけっこうな量になりますもんね。税務署も毎年のレシートや領収書が溜まりすぎて困っちゃったのかな?「医療費控除の明細書」これを書いて出すだけなら簡単ですね。医療費控除の明細書は、国税庁のHPから入手できます。
でも、これをダウンロードして使用するとなると手書きになってしまうので、私はエクセルでこの明細書ソックリなものを作成してエクセルで入力することにしました。そうするとエクセルファイルとして残りますしね。そうしておけば最初はメンドくさいけど、来年から楽になるかな。
あとは「レシートや領収書を自宅にて5年間保存」これはけっこうキツいな。そのうち間違えて捨てちゃいそう。私が保管していても、親に捨てられそうな予感。
セルフメディケーション税制 (医療費控除の特例)
私はこの制度を知りませんでした。不覚。こんな制度いつのまに出来たんですか?まったく知りませんでしたね。
セルフメディケーション税制の内容
平成29年1月1日以後に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の特定一般用医薬品等購入費を支払った場合において、その年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の健康診査や予防接種などを行っているときには、通常の医療費控除との選択により、その年中の特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金等により補填される部分の金額を除きます。)のうち、1万2千円を超える部分の金額(8万8千円を限度)を控除額とするセルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)の適用を受けることができます。
セルフメディケーション税制の範囲も「自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族」と医療費控除の範囲と同じですね。医療費控除が実際に医療を受けて、その対価として支払った金額が医療費控除の対象となるのに対して、セルフメディケーション税制では「健康診断や予防接種」と医療費控除では対象範囲外となるものも含まれているんですね。
医療費を抑えなければいけないという話はニュースやなんかでも本当に良く聴きますよね。ジェネリック薬品を勧めれることも多々あります。
国の医療費を抑えるために、少しくらいの病気だったりなんかしたら、すぐには病院に行かないで、市販薬を買って治療してね。国の医療費を抑えるために協力お願いしますっ!っていうようなかんじで生まれたのがセルフメディケーション税制なのかな。
申告するための要件
(1) 適用を受けられる方
セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っている居住者が対象となります。具体的には、次の取組が、「一定の取組」に該当します。
- 保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
- 市区町村が健康増進事業として行う健康診査【生活保護受給者等を対象とする健康診査】
- 予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
- 勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
- 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
- 市町村が健康増進事業として実施するがん検診
なお、申告される方が「一定の取組」を行っていることが要件とされているため、申告される方が取組を行っていない場合は、控除を受けることはできません。
(2) 特定一般用医薬品等購入費の範囲
セルフメディケーション税制の対象となる商品には、購入の際の領収書等にセルフメディケーション税制の対象商品である旨が表示されています。スイッチOTC医薬品の具体的な品目一覧は、厚生労働省ホームページに掲載の「対象品目一覧」をご覧ください。
一部の対象医薬品については、その医薬品のパッケージにセルフメディケーション税制の対象である旨を示す識別マークが掲載されています。
インフルエンザの予防接種を打っているだけでも良いみたいなので、そんなに難しい要件ではなさそうですね。ただ『特定一般用医薬品等購入』ここの方が難しい気がする。つまりは、薬局で市販されているすべての薬が対象となるわけではなく、一定の定められた医薬品だけが対象となる。
薬ってだいたい買うのって決まっていませんか?私はだいたいいつも同じものを買ってしまいます。なぜなら今までの経験上、それが効くと思っているからです。でも、その薬が「セルフメディケーション税制の対象商品」ではなかったら、この特例は使えないということですよね。
今までは違う薬を使っていたけど、これからはセルフメディケーション税制対象商品だけを狙って、それだけ買い続けるっ!なんて人はそうはいないと思うので、ナカナカ使いどころが難しそうな税制ですね。たまたま自分のいつも買っているものが対象だったら良いかなくらいなかんじの人が使用する制度かな。
控除額の計算方法
実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除きます。)から1万2千円を差し引いた金額(最高8万8千円)
手続要件
次の1.の書類を確定申告書に添付し、かつ、2.の書類を確定申告書に添付するか、又は確定申告書の提出の際に提示する。
- セルフメディケーション税制の明細書
- セルフメディケーション税制の適用を受ける方がその適用を受けようとする年分に一定の取組を行ったことを明らかにする書類(①氏名②取組を行った年③取組に係る事業を行った保険者、事業者若しくは市区町村の名称又は取組に係る診察を行った医療機関の名称若しくは医師の氏名の記載があるものに限ります。)
2については、インフルエンザ予防接種であれば、インフルエンザ予防接種の領収書を添付するか提出する際に提示すればよいのかな。セルフメディケーション税制の明細書は国税庁のHPから入手できます。
医療費控除と併用できない
これが一番大事なところですね。セルフメディケーション税制を利用すると医療費控除がまったく使えません。高齢な人ほど、セルフメディケーション税制適用医薬品を買うより病院を受診している人の方が多いと私は勝手に思っているので、実際は医療費控除を利用する人の方が多いようなかんじがしますけど、実際の利用実績がどうなるのか楽しみですね。
医療費控除とセルフメディケーション税制 違い どっちが得?
医療費控除の控除額が『実際に支払った医療費の額ー保険金等で補填される金額ー10万円=控除額(限度200万円)』。セルフメディケーション税制による控除額が『実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除きます。)から1万2千円を差し引いた金額(最高8万8千円)』
医療費控除に使用する病院の領収書はセルフメディケーション税制では使えないけど、逆にセルフメディケーション税制で使用するレシートは、通常の医療費控除の支払った医療費に含めることが出来ますよね。
例えば、セルフメディケーション税制での支出額が30,000円。医療費控除での支出額が130,000円だった場合。セルフメディケーション税制での控除額が「18,000円」。医療費控除での控除額が「30,000円」。医療費控除の方がお得になりますね。
ケースバイケースだと思いますが、計算の流れとしては、
- セルフメディケーション税制対象医薬品の合計額を算出する。
- (上記1)-1万2千円=最高8万円
- 医療費(病院の診療、医薬品等)の合計額を算出する。
- (上記3)-10万円(注:所得200万円以下の場合は所得の5%)=限度200万円
- 上記2>上記4。又は、上記2<上記4。大きい方
比較して使いこなせばメディケーション税制も限度額が「1万2千円」を引くだけですし、使いやすいとてもステキな制度だとは思うのですが、そもそも、私はメンドくさがりなので。
比較検討なんてしないで、最初から「医療費控除」一本でいっちゃうかな。歯医者に一回行くだけで3~4千円は支出しますし、親は血圧だかなんだかでしょっちゅう病院に行ってますし、定期的な鼻炎の薬やなんかで、10万円越えは確実だと思われるので。
でも、世の中の人がどれほどセルフメディケーション税制を利用するのかは数字として知りたいので、国税庁さんにはゼヒ!医療費控除の利用者数とセルフメディケーション税制の利用者数を公表してもらいたいなぁ。